インク沼ってどんなところなのか、インク初心者が調べた結果

インク初心者がインクイベントへ行きまして、せっかくなのでインク沼について調べてまとめました。

まずはとにかく【インクの種類】がわからなかったので、インクの種類と特色をまとめました。

染料インク

・色の素材を植物から採取してきたのが由来

・紙の繊維の中まで入り込む性質

・耐水性や耐光性には優れていない

・色の種類が豊富

・書き心地が良い

・インクの大半がこの染料インク

 

顔料インク

・古来から、土や岩を砕いて素材としてきた

・水に溶けて染み込む染料インクとは違い、紙の表面に付着する

・耐水性、耐光性に優れている

・黒、青が多いが最近は様々な色が登場

・滲まない

・水に溶けにくいので、万年筆にインクが詰まりやすい

・裏抜けしにくい

 

古典インク(没食子(もっしょくし)インク)

・染料インクに鉄成分と酸成分を加えたインク

・紙に書いた後、変色してゆく

・耐水性、耐光性に優れている

・ブルーブラックが主流

・最近では色が増えている

 

インクの種類について区別がついたところで、続いて【インクの成分】についてもうちょっと詳しく。

染料インクは以下の材料から出来ています。

①水

②色材

③機能付与剤

・界面活性剤:粘度や表面張力を調整する

・pH調整剤:pH(水素イオン指数)を保たせる

・保湿剤:蒸発を防ぐ

・防腐剤:雑菌の繁殖を防ぐ

 

また、古典インク(没食子インク)は時間とともに色が変化し、色変化が促されるように調整されたインクもあります。紙によっても変化が違うので、楽しめます。

 

インクにおけるpH(水素イオン指数)とは

液体はpHによってアルカリ性酸性を表すことができ、水に溶かす染料によってアルカリ性と酸性に分かれます。

pH値が7を中性、それよりも高ければアルカリ性、低ければ酸性を表します。

 

<アルカリ性の特徴>

・濃度が高く、鮮明な色が出る

・耐水性や耐光性が低い

・アルカリ域で使える防カビ剤が限られるので防腐対策が難しい

 

<酸性の特徴>

・堅牢性が高い

・微細な沈殿物が発生することがある

・ペン先にダメージを与える可能性があるので、耐食性のあるステンレスや金ペン先を使用

・紙上でインクが次第に酸化し、耐水性、耐光性が増す

 

<アルカリ性と酸性のインクを混ぜると>

水に溶けない鉄成分や固形物が発生することがある。

 

<染料インクと顔料インクを混ぜると>

水との混合方法が違うので沈殿物が発生することがある。

 

インク沼ってこんなところ。調査の結果を箇条書きにしました。

沼の人々の行動を書き出してみます

・インク帳を作る

・インク棚を作る

・万年筆以外のペンに入れてインクを使う

・水筆を使う

・ガラスペンを使う

・つけペンを使う

・近い色を比較する

・限定(レア)インクに手を出す

・軸が透明の何年筆が必要になる

・インクを混ぜて自分の色を作りたくなる

・同じ系統の色を集める

・ボトルの形状にこだわる

・色について詩的に語る

・小瓶に自慢のインクを小分けにして、人にあげたり交換したりする

・カートリッジを再利用する

・万年筆とインクの組み合わせにこだわる

・ブルーブラックにこだわる

・メーカーにこだわる

 

インク沼における、たぶん、最近の流行

①ご当地インク

②インクをブレンドしてくれるサービス

 

今後の興味深い文房具イベント(東京)

①東京インターナショナルペンショー

東京・浅草・東京都立産業貿易センター

2018/9/29(土)~2018/9/30(日)

 

②システム手帳サロン2018

東京・銀座・銀座伊東屋 10階

2018/11/10(土)~2018/11/25(日)

 

まとめ

インクについてなんとなく理解できました。

まとめてみて、つけペンに興味が出てきました。

先日の銀座伊東屋INK.Ink.ink!での貸し出しつけペンも使いやすかったし、万年筆に入れなくてもインクを使えるというのが、いいです。

文房具は奥が深くておもしろい!

銀座伊東屋~インク沼へようこそ~ 沼の入り口に立ってみて感想

本のタイトルではなく、イベントのタイトルです。

G.Itoya B1 INK.Ink.ink!~インク沼へようこそ~

2018/9/19(水)~2018/9/26(水)

行ってきました。

銀座伊東屋では初めてのインクイベントだそうです。

国内外の42ブランド約1,000種のボトルインクを自由に試し書きできるイベントです。

普段であれば、店頭で店員さんにお願いしながら試し書きするところ、開場時間内であれば何時間でも試し続けても良いという、好きな人には必見のイベントです。

 

ちなみに私はインク沼の住人ではなく、インクのことはほとんど何も知りません。

万年筆は学生のころから常用していますが、インクはどこでも手に入るメーカーのブルーブラックくらいしか使って来ませんでした。こだわりは全くありません。

 

イベント参加の流れ

①イベント会場に到着。

②入り口の受付レジで、入場料の500円をお支払い。

③500円と引き換えに、試し書き用のノート、つけペン、インクリスト、伊東屋のステッカー、万年筆クリーニングペーパー、つけペンふき取り用のポケットティッシュを受け取る。

④棚にずらっと並んだボトルインクを好きなものから試す。

⑤気が済む。

⑥それぞれの棚に販売用の商品も陳列されているので、購入したいインクがあれば、入り口のレジでお会計。

⑦商品を購入してもしなくても、つけペンを受付にて返却して退場。

⑧当日であれば、試し書き用のノート(日付入り)を提示することによって再入場が可能。

 

混雑具合、雰囲気、感想

私が会場に到着したのは、土曜日のお昼ごろでした。

会場内には30人くらいの人々がいましたが、入場口には並んでいる人もなく、すんなり受付できました。

貴重品以外の荷物を置いておける棚が設置してありましたが、ポケットにお財布が入らないため、荷物は持ったまま参加することに。長時間立っていることになるので、荷物を預けて手ぶらの方が体が楽そうです。ミニバックを持って行けば良かったなと思いました。

 

3列の棚が設置されていて、1つの棚にそれぞれボトルインクが2列並んでいます。人々は、1つの棚を挟んで、対面でインクを試します。

ボトルのふたは基本的には開いていて、つけペンにインクをちょっと付けて、試し書きします。受付でもらった試し書き用のノートに書いている人も、持参したノートに書いている人も、インク棚に置いてある試筆用紙に書いている人も、いました。

この試筆用紙の書き心地が良くて、びっくりしました。神戸派計画のグラフィーロペーパーでした。

 

ボトルのふたが閉まっているものもあって、これはラメ入りのインクです。ふたを閉めた状態でボトルを振り、沈殿しているラメを浮かせてからペンにつけます。

このラメ入りのインクですが、どうやらふたが緩かったのか、振るとインクが手にあふれてくるという事態が何度も起こっているようでした。インク初心者の私は、このリスクを冒してまでラメを試したい気持ちはなく、ラメはスルー。

さらに、ものによっては2段目に陳列されているインクもありました。これはちょっと厳しい。何が厳しいかといいますと、インクの名前を知ろうとボトルに顔を近づける姿勢が厳しい。まわりに人が少なければしゃがむことで解決できますが、なかなかそうもいきません。中腰が厳しくて、2段目のインクもほぼスルー。

 

結局、私が試筆できたの186色でした。1,000種って、沼が広すぎる。

42ブランドのうち、私が名前を知っていたのは、15くらいです。本当にたくさんのメーカーがインクを開発しているのですね。ボトルも各メーカー特色があって、とても美しいと思いました。ボトルも魅力のひとつなのかな。ナノ顔料とか、没食子インクとか、わからない言葉も多くて、あとで調べようと思いました。

色でいいなと思ったのは、ナカバヤシ「浮世絵インク 青の革命」というシリーズです。様々なあおいろを表現したインクで、どれも落ち着いた色合いで素敵でした。

会場の雰囲気は、騒がしくもなく、皆さんが譲り合って楽しんでいて、良かったです。半数くらいがおひとりさまだったと思います。

試筆に満足し、つけペンを返却して退場しようという時に気が付きましたが、入場の受付にいつの間にか長蛇の列が!30~40人くらい並んでいたと思います。午後3時半くらいでした。

皆さん、インクお好きなんですねぇ。

と、いうわけで、3時間30分会場にいたことになります。

 

トークショー

途中、会場内で始まったトークショーも拝見しました。

ナガサワ文具センター「Kobe INK 物語」の開発を手掛けていらっしゃる竹内直行さんと、枻(えい)出版社「趣味の文具箱」の清水編集長によるトークショーです。

・インクで描かれた作品の紹介

・お二人の出会い

・Kobe INK 物語 開発話

・今、人気の色

・お二人が普段使っている色

・次回の新色のお話

・最近また、システム手帳が注目されている

などなど、楽しいお話を伺えました。お二人とも、ご自分のシステム手帳を手元に置いて進行されていました。シンプルで、使い込まれていて、男の人の仕事道具!という感じがして素敵でした。

 

まとめ

両手の空く格好で、疲れにくい靴で、もしもインクが飛んでも落ち込まない服装で望むと非常に満足できるイベントだと思います。インクに詳しくない私でも、とても楽しかったです。

おみやげの万年筆クリーニングペーパーも、ステッカーも嬉しいです。

3時間30分間の苦楽を共にしてきた試し書き用のノートは、帰ってきてから何度も眺めています。

次回があるならまた参加したいと思いました。

友だち幻想/菅野仁(著)感想

「友だち幻想」

著者:菅野仁

出版:ちくまプリマ―新書

初版:2008/3/10

 

友だちとの関わり方や、集団生活での心の持ちようについて、アドバイスをくれている本です。

そういう問題を意識したときに、自分の心と向き合う手順を教えてくれます。

自分の心が幸せを感じる理由を具体的に切り分けると、

自己充実によって、他者との交流によって、他者からの承認によって、ということになります。

自己充実とは、自分の能力を思う存分発揮できること。

他者との交流とは、人とのつながりそのものに感じる喜び。

他者からの承認とは、単純に言えば他者から褒められること。

ちょっと問題が起こってパニックになりかけた時に、これらを意識すると冷静になれる気がします。

 

それから「がんばれ」というメッセージなのではなくて、学校の在り方とか、合わないと思ったら距離を置いても良いのでは、という大人に向けた言及もあります。

そしてそれを踏まえた上で、それでも集団生活は続けていかなくて、状況と、自分の感情を並存する方向で、考えをまとめさせてくれる感じです。

 

「ちょっと苦しい思いをしてみる」ことを通して、本当の生きている楽しみをじわじわと、自分なりに感じることができるのではないかと思います。

この本は、所有して、時折読みたいです。

 

日本史を思い出すのにピッタリの一冊!

「東大教授がおしえるやばい日本史」
監修:本郷和人
出版:ダイヤモンド社
初版:2018/7/11

”東大教授がおしえる“に胡散臭さを感じたものの、表紙を見る限りは、東大アピールが控え目だったので、読んでみました。

とても面白かったです。
内容は、卑弥呼の時代から昭和までを広く浅く、面白おかしく解説しています。
時代の流れを短時間で把握、または確認したい場合に適した一冊です。
全編カラー印刷で、文章も分かりやすく、人物相関図やまんがや年表も使って、印象に残るような内容になっています。

ひとつひとつの事柄については、あらすじ程度の紹介のみなので、深く理解したい時には向いていません。
ただ、あまり参考書には載っていないような、歴史上の人物の趣味や癖について言及しているので、その人物のキャラクターや性格をイメージしやすいです。楽しめました。

意外なイメージだったのは、土方歳三です。
もともと、ハンサムでモテモテ、頼りがいのあるリーダーというイメージでしたが、ちょっと変わりました。
モテモテではあるけれど、お店の女の子からの営業メールをラブレターだと思い込み、わざわざ実家に自慢気に報告したり、俳句が趣味だったけれどヘタだったり、ちょっとイタイ一面を知りました。

歌手になりたいジャイアン、趣味のバイオリンが殺人的な音色を奏でるしずかちゃん、ナルシストなスネ夫…
と共通する一面ですね。

コーヒーが冷めないうちに/川口俊和(著)簡単なあらすじと感想

「コーヒーが冷めないうちに」

著者:川口俊和

出版:サンマーク出版

初版:2015/12/6

 

あらすじ

とある喫茶店の決まった席に座り、決まった手順を踏むと、望んだ日時へ一定時間、タイムスリップできる。

このお店には大体いつも、スタッフと、常連客がいて、タイムスリップしたいお客さんは時々にしか現れない。

タイムスリップできる喫茶店なんて、すごく繁盛しそうだけれどそうならないのは、タイムスリップにいくつか条件があるからだ。

なかでも、「過去を変えても現実には何も変わらない」というルールが、わざわざタイムスリップする意味が無いと思わせているのだろう。

そんなわけで、ほぼ毎日変わらない顔ぶれで時間が過ぎていくこの喫茶店だが、それぞれの心の中まで変化がない訳じゃない。

「過去を変えても現実には何も変わらない」と分かった上で、それでも過去に戻りたくなる出来事が起こって…。

 

感想

川口俊和さんは、舞台の脚本・演出をされている方です。

この「コーヒーが冷めないうちに」も元は舞台だったそうです。

なるほど、タイムスリップの瞬間の描写は、確かに舞台で湯気が出ているのを想像できます。

 

とても話題になった人気作ですね。一時期、電車内の広告でもよく見かけました。どこの書店でも平積みで、「4回泣けます」を何度見かけたかわからない。泣きたいわけじゃないけれど、読んでみました。

泣きはしませんでしたが、良いお話です。

人との関わりの中で、大事なタイミングを逃してしまうと後悔することになる。

コミュニケーションを雑にしていたつもりは無いのだけれど、普段の言動を振り返るきっかけになりました。

 

このお話は、だれか特定の人の視点で進むのではなく、強いて言うなら「喫茶店」の目線で客観的に語られているような感じです。

ですので私は、キャラクターに感情移入するというよりも、物語の設定と、喫茶店の不思議でレトロな雰囲気を楽しめました。

 

映画化もされるそうですね。喫茶店のあの雰囲気を映像で見られるのは楽しみです。

 

素敵な日本人/東野圭吾(著)感想

「素敵な日本人」

著者:東野圭吾

出版:光文社

初版:2017/4/5

 

東野圭吾さんの短編集です。

それぞれに繋がりのない9話が収録されています。

 

自分がよく知っていると思っていた身近な人の、本当の姿を知ることになったとしたら・・・衝撃を受けるでしょうか、それとも納得するでしょうか。

この本では、「人」についての意外な事実が描かれています。

この世には、自分が思っていることとは違うっていうことがたくさんあるんだ、と改めて肝に銘じました。

 

1話目の「正月の決意」は、東野圭吾さんのいつものブラックユーモアシリーズのように感じましたが、ほかの8話は違いました。

 

私が特に気に入ったお話は、「十年目のバレンタインデー」です。

読み終えてスカッとしました。冒頭の、再会直後のやり取りが、コテコテなロマンチックなデートなのが良いですね。ラストの爽快感を倍増してくれます。

 

それから「壊れた時計」も面白かったです。

主人公のあの決断がネックになるんだろうと予想はついたものの、そのネックの最終的な理由が意外でした。

自分に同じことが起こった時には、これは気を付けようと思いました。

 

あとは「水晶の数珠」も良いですね。

本の最終話でもあるので、後味が良くて、気持ちを前向きにしてくれるお話でとても良かったです。

 

それぞれの短いお話のなかでも、しっかり「びっくり」させてくれる一冊です。

 

キャロリング/有川浩(著)簡単なあらすじと感想

「キャロリング」

著者:有川浩

出版:幻冬舎文庫

 

あらすじ

主人公・俊介の勤める子供服メーカーの倒産が決まった。

従業員が数人の小さな会社ではあったが、社員はそれぞれ会社に愛着があり、最終日となるクリスマスまでの最期の業務に精を出すことにした。

その中でも社長の甥である俊介は、世話になった会社から離れがたく、就職活動にも前向きになれない。

もう一つ心残りなのは、小さなすれ違いから別れてしまった彼女のことだ。彼女も同じ会社の社員である。クリスマスまでにこの気持ちに決着を付けなければもう会えない…。

そんな中、事件が起こる。

子供服を扱う事業に関連して運営していた、小学生のアフタースクールの生徒・航平が、母親に内緒で別れた父親に会いに行っていたのだ。

俊介がその事実を知ったのは、なぜか航平に協力して同行していたのが、俊介の元彼女だったからである。

俊介は彼女を叱るが、航平の書いた「ワタルの物語」に心を動かされた俊介は、自分も彼女と一緒に航平に協力することにする。

思いがけず訪れた、彼女と過ごす大切な時間…。

しかし、ある時3人は、凶悪な犯罪に巻き込まれてしまう…!

 

感想

キャロリングという言葉の意味を知らなかったので、読み終わってから調べてみました。

クリスマス・イブに讃美歌をうたうこと、だそうです。なるほどねぇ。納得しました。このお話は確かにキャロリングですね。ということは、紹介する時期を間違えていますね。

出直したいけれど、書き始めてしまったので続けます。

 

お話の季節はクリスマスです。

でも、発生する事件が大騒ぎになり、クリスマスであることをしばらく忘れます。

そして解決して、落ち着くと同時に、クリスマスらしさを思いっきり感じます。ですので、12月になってから読むと雰囲気を楽しめるのでおすすめです。時期を間違えてすみません。

 

主人公の俊介(大人)と、航平(小学生)の男の友情が清々しくて羨ましくなります。

特に、航平の物語を書く才能をいち早く見抜き、大人の事情も関係なしに、航平との友情を大切にする俊介に共感できます。

航平も、素直でけなげで、しっかり男らしくてかっこいいです。

このお話の中では、女性陣はなかなか現実的であるのに対して、男性陣は老いも若きもみんなロマンチストです。夢見がちです。本人たちはそれぞれ真剣なのですけれどね、そこも面白いです。

大人たちが夢見がちなので、航平のかっこよさが際立ちます。

 

クリスマスの雰囲気が好きな人、子供がすごくかっこよく頑張るお話が好きな人におすすめです。

塩の街/有川浩(著)簡単なあらすじと感想

「塩の街」

著者:有川浩

出版:メディアワークス

初版:2007/6/30

 

あらすじ

だれも想像しなかったような災害が日本を襲った。

いや、これが果たして災害なのか、何が原因なのか、日本国内のみで起こっているのかどうかさえも誰にもわからない。

わかっているのは、大切な人たちが次々に命を奪われ、残された者たちの生きる気力が、失われかけているということだけ…。

この災害で両親を無くし、一人ぼっちとなった女子高校生の危機をひとりの男が救った。

それをきっかけに男は少女の保護者となり、二人は共に暮らし始めた。

少女は、無愛想だが暖かな庇護を受け、徐々に笑顔と持ち前の明るさを取り戻して行く。

また男も、守るべき少女の存在と、その芯の強さに励まされながら、自分の果たすべき使命と向き合うことになる…。

 

感想

「空の中」「海の底」「塩の街」の3部作のシリーズですが、私はこの「塩の街」が一番好きです。漂流感が一番強いからでしょうか。

 

異常なことが起こってしまった世界が舞台になっているので、最初からどうしても悲しい空気が漂いますが、これは恋愛小説だ、とすれば非常にロマンチックな設定です。

非常事態中の世界で、男女がお互いしか頼る人がいなくて、助け合いながら惹かれ合いながら生き延びていくという、これぞ漂流もの(恋愛寄り)の王道を行っています。

 

主役の二人は、マイペースだけれど芯がしっかりしている若い女の子と、上官キャラの不愛想な年上の彼です。

有川浩さんの本ではおなじみすぎる設定のカップルですが、いいのです、この設定が一番ときめくのです。今回も徹底的にときめかせてくれます。

 

今、急に思い出しましたが、少し昔にテレビドラマになった「漂流教室」と、ときめくポイントが似ています。あのドラマが好きだった方にはこの本はおすすめです。

 

一番、イイ!と思ったセリフは、

「高範だ。呼んでみろ」

です。

 

家族シアター/辻村深月(著)感想

「家族シアター」

著者:辻村深月

出版:講談社

初版:2014/10/20

 

家族にまつわる短編集です。7つのお話が掲載されています。

1話目と2話目のお話は姉妹、姉弟のお話です。この二つのお話を読んで、

「うんうん、こういう感じの短編集ね、じーんと来る、いい本だねぇ」

と、のんびり構えて読み進めた3話目。

 

読み終えた途端、読後感の清々しさに衝撃を受けて、この3話目だけ何度か続けて読んでしまいました。

3話目は母娘のお話です。このお話を読んでいる短い時間で考え方が変わるほどでした。

勉強ができるとかできないとか、人付き合いが上手いとか下手とか、そういうことよりも大事な人間の性質ってあるよなぁ、いざっていう時に発揮されるよなぁと、しみじみ思いました。

 

続く4話目は父親のお話、5話目は姉妹のお話で、これらは1・2話目と同じくらいの「じーん」。

 

そして6話目がまた素晴らしかった。

じいちゃんと孫娘のお話ですが、このじいちゃんが粋でかっこいいです。

孫娘の気持ちもすごくわかるから、孫娘の気持ちになって読むと、じいちゃんのかっこよさに感動します。将来はこんな大人になろう、と決心しました。きっと間に合う。

 

最後の7話目は、ドラえもんネタです。私もドラえもん好きです。

 

3話目と6話目が特別に気に入ってしまいました。

単行本で買ったのだけど、持ち歩けるように文庫本でも欲しいです。

 

東野圭吾 ブラックユーモア短編集 一言あらすじ

どの本にどの話が載っていたのかいつもわからなくなる、集英社文庫「笑小説」東野圭吾(著)を覚書と共にまとめてみました。

 

怪笑小説

初版:1998/8/25

・鬱積電車:電車に乗るのがちょっと怖い

・おっかけバアさん:ファンってこんな感じ

・一徹おやじ:あきこと勇馬

・逆転同窓会:同窓会に名刺を持って行く年頃

・超たぬき理論:学者さんってこんな感じ

・無人島大相撲中継:漂流もの

・しかばね台分譲住宅:せんそう

・あるジーサンに線香を:アルジャーノンに花束を

・動物家族:ストレス

 

毒笑小説

初版:1999/2/25

・誘拐天国:ジェネレーションギャップ

・エンジェル:クリオネ的な

・手作りマダム:奥様友達

・マニュアル警察:お役所仕事だから

・ホームアローンじいさん:まさにあのホームアローン

・花婿人形:箱入り息子

・女流作家:ミステリー

・殺意取扱説明書:愛読の取説

・つぐない:長編でもいいくらい

・栄光の証言:一世一代の晴れ舞台

・本格推理関連グッズ鑑定ショー:「名探偵の掟」より

・誘拐電話網:大事な用事は連絡網で

 

黒笑小説

初版:2008/4/25

・もうひとつの助走:灸英社の神田さん、ほか

・線香花火:ハードボイルドのあの人

・過去の人:虚無僧探偵ゾフィー

・選考会:寒川先生、選考委員に

・巨乳妄想症候群:最初は良くても

・インポグラ:広告代理店

・みえすぎ:遺伝

・モテモテ・スプレー:モテも科学

・シンデレラ白夜行:シンデレラと白夜行がコラボ

・ストーカー入門:誰でも最初は初心者

・臨界家族:日曜朝、まちの平和を守る少女たち

・笑わない男:vsお笑い芸人

・奇跡の一枚:ちょっといいSF

歪笑小説

初版:2012/1/25

・伝説の男:伝説の編集長、獅子取

・夢の映像化:ハードボイルド再び

・序ノ口:虚無僧探偵ゴルフコンペへ行く

・罪な女:がんばれ熱海くん

・最終候補:小説家になりたい

・小説誌:中学生の追求

・天敵:マネージャー気取り

・文学賞創設:こういう瞬間があるから頑張れる

・ミステリ特集:小説誌に穴をあけるわけにはいかない

・引退発表:寒川先生、惜しまれながらも…

・戦略:愛すべき熱海圭介

・職業、小説家:そういえば只野六郎って…マニュアル警察の…