カフーを待ちわびて/原田マハ(著)簡単なあらすじと感想

「カフーを待ちわびて」

著者:原田マハ

出版:宝島社

初版:2006/4/3

 

あらすじ

島の暮らしは毎日、同じように、過ぎて行く。

同じ時間に起きて、同じ場所に散歩に行って、店に買い物に来る人たちも同じ、いつもと同じようにおばあと夕食をとる。

ある日、巫女であるおばあが尋ねた。

「知らせは、あったかね」

なんの、とは聞かなかったが、明青には微かな心当たりがあった。

島民の旅行で行った北陸の地で、絵馬に「嫁に来ないか」と、氏名だけを添えて書いたのである。

そしてなんと、手紙で返事が届いたのである。

明青の、島の暮らしが変わり始める…。

 

感想

光景が目に浮かぶどころか、自分がそこにいるような感覚のまま読み終わりました。

沖縄旅行に行きたいのだけど行けない・・・というときに読むと良いです。

原田マハさんのお話はそういう、旅行の代わりに読むと良い本がたくさんありますね。

いつも不思議と、その場にいて、その人たちを良く知っているような気持になります。

 

沖縄の話し言葉が満載のこのお話は、与那喜島で生まれ育った明青が主人公の、恋愛物語です。

明青の普段の生活がとても丁寧に描かれているので、読んでいると、まるで波の音が聞こえたり、海の風を感じられるかのようです。

明青が寡黙なので、ちょっともどかしかったり地味にハラハラしたりしますが、物語の中で、彼も成長します。大丈夫です。

寡黙な主人公に対して、ヒロインは快活で明るいかわいらしい女性です。

明青の目線でお話が進むので、つい自分まで寡黙であるかのような気分になりますので、明るい彼女と過ごして、惹かれる気持ちがよくわかります。

 

原田マハさんの本の中でも特に好きな1冊です。

この本を手にとった理由の一つは、カバー装丁でした。

単行本で買ったのですが、目に優しい白地に、タイトルと原田マハさんのお名前が明朝体の黒文字で書かれていて、大人っぽくて素敵なんです。

ちなみにカバーを外すと全く違った表紙が現れます。